您当前的位置:首页 > 学习资料 > 日本文学 > 原著
芥川龙之介《秋》(日文版)。。。
时间:2007-03-15 19:07:52  来源:|  作者:


 
   寝る前に俊吉は、縁側の雨戸を一枚開けて、寝間着の儘狭い庭へ下りた。それから誰を呼ぶともなく「ちよいと出て御覧。好い月だから。」と声をかけた。信子は独り彼の後から、沓脱(くつぬ)ぎの庭下駄へ足を下した。足袋を脱いだ彼女の足には、冷たい露の感じがあつた。
 
   月は庭の隅にある、痩せがれた檜(ひのき)の梢(こずゑ)にあつた。従兄はその檜の下に立つて、うす明い夜空を眺めてゐた。「大へん草が生えてゐるのね。」――信子は荒れた庭を気味悪さうに、怯(お)づ怯づ彼のゐる方へ歩み寄つた。が、彼はやはり空を見ながら、「十三夜かな。」と呟(つぶや)いただけであつた。
 
   暫く沈黙が続いた後、俊吉は静に眼を返して、「鶏小屋(とりごや)へ行つて見ようか。」と云つた。信子は黙つて頷(うなづ)いた。鶏小屋は丁度檜とは反対の庭の隅にあつた。二人は肩を並べながら、ゆつくり其処まで歩いて行つた。しかし蓆囲(むしろがこ)ひの内には、唯鶏の匂のする、朧(おぼろ)げな光と影ばかりがあつた。俊吉はその小屋を覗いて見て、殆(ほとんど)独り言かと思ふやうに、「寝てゐる。」と彼女に囁(ささや)いた。「玉子を人に取られた鶏が。」――信子は草の中に佇(たたず)んだ儘、さう考へずにはゐられなかつた。……
 
   二人が庭から返つて来ると、照子は夫の机の前に、ぼんやり電燈を眺めてゐた。青い横ばひがたつた一つ、笠に這つてゐる電燈を。

 11/14   首页 上一页 9 10 11 12 13 14 下一页 尾页


咖啡日语 Ver.7 Created by Mashimaro