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忌み言葉(いみことば)とは、それを口にすることを良しとしない言葉。あるいは、それを言い換えた言葉。
日本語の場合、血や死を不浄とする傾向がありこれらの関係語にはかなり忌み言葉が存在する。伊勢神宮の斎宮は、仏教用語を避ける。結婚式や受験関係では、離婚や落第をイメージする語が避けられる。
性的な言葉や不潔な言葉を避けることもある。これらは言い換え語も遠からず性的な、あるいは不潔なイメージを持つこととなり、次々と新しい言い換え語が生まれることも多い。
これら悪しとされる語とは逆に、天皇や皇室に関する語が畏れ多いとして避けられることもある。
また中国には皇帝の名や諱の漢字を避ける避諱の習慣がある。避諱した言い換えのまま定着した語や、そのまま日本語に入った語も多い。
差別用語、性的に中立でない語、商標などの忌避・言い換えも、広い意味では忌み言葉の一種と考えられる。
特定の状況での忌み言葉の例
結婚式
別れる、切る、離れる、戻る、帰る、終わる、破れる、割れる、重ねる
受験
落ちる、滑る、転ぶ、散る
妊娠
流れる、消える、降りる
新居・開店
焼ける、崩れる、火、傾く
病気・お見舞い
重ねる、たびたび、再び
忌み言葉の言い換えの例(カッコ内が言い換え語)
本来の意味を避けたもの
死ぬ(亡くなる、身まかる)
便所(ご不浄・はばかり・お手洗い) 排泄自体を恥ずかしむ風潮から。英語でも「waiting room」という表現がある。
強姦(いたずら、乱暴、暴行)
月経(生理)(古語に「月のもの」とか「月のつわり」などの婉曲語がある。)
語呂合わせを避けたもの
梨(有りの実) 梨が「無し」に通じることから
シネマ(キネマ) シネが「死ね」に通じることから
スルメ(アタリメ)スルが「摩る(ギャンブルに負ける)」に通じることから
すり悖àⅳ郡赉)すりが「摩り」に通じることから
切り身(刺身) 「切る(切腹する)」に通じることから
猿(得手、エテ公のエテのこと)猿が「去る」に通じることから。
おしまい(おひらき)
鏡割り(鏡開き) 「割る」に通じることから
アシ(ヨシ)〔イネ科植物〕 アシが「悪し」に通じることから。
亀梨(亀有) 昔は「亀梨」という地名だった。「梨」が「無し」に通じるため、江戸時代初期ごろから変更。
四・し(よん) 死に通じることから、訓読みの「よつ」から新しい読みが作り出された。アパート・マンション・ホテル・病室の番号および病院の待ち番号などでは使用されないことがある。特に病室の番号および病院の待ち番号では絶対と言って良いほど使用されない。しかし、アパート・マンション・ホテルでは最近ではあまり気にされず使用されることが多い。
九・く 「苦しむ」に通じることから。特に病室の番号および病院の待ち番号では使用されない。