040918报纸的回收与掠夺
时间:2007-11-09 13:42:11 来源:| 作者:
040918《天声人語》
電柱に、見慣れない黄色い紙がはってある。先の電柱にも、そのまた先にも黄色い紙が目立つ。資源ごみは区が回収するので持ち去ってはならない、とある。新聞や雑誌の回収日に、先回りして横取りする者がいるのかと思いながら通りすぎたのは三月ほど前だった。
横取りは相当広く行われているようだ。東京の古紙問屋団体(こしどんやだんたい)が試算すると、関東1都6県だけで、昨年度の被害額は最大で約20億円になった。中国などへの輸出増で値上がりしているらしい。
古くから再生利用されてきた新聞紙は、今ではシンブンシと読むのが一般的だが、昔は少し違っていた。作家の石川淳(いしかわじゅん)が大正末に教師をしていた高等学校の入試でのことだ。採点する作文の題が「新聞紙」だった。
読んでいて、中身がくっきりと二つに分かれているのに気づく。一つは「新聞紙」の社会的性質や文化的使命を論じ、片方は「シンブンガミ」として原料、製法を記していた。
さらに分かったことは、前者は例外なく文科志望、後者は理科で、シンブンガミの方に、石川は「文学を感じた」(『文学大概』小学館)。長(ちょう)じて著名な評論家となる文科の受験生が、後にこの文を読んで「ギョッとした」と記している(『花田清輝(はなだきよてる)全集』講談社)。
紙が貴重だった江戸期の『紙漉重宝(かみすきてうほう)記(き)』に、こんな一節がある。「おろそかに紙つかふべからす……ほしたる紙壱枚 風にて谷へふきちりしを とりに行にも一時斗(ばか)りかゝる。竹をわり、ちりたる紙をはさみ持ちかへる」。回収も、横取り対策もまた、おろそかにはできない。