040915《天声人語》
モネはポプラ並木をたびたび描いた。よく知られるのが1891年制作の「4本のポプラ」だろう。伐採される予定だったのをお金を出して延期してもらい、描き続けたといわれる。
水辺(みずべ)に立つポプラのほっそりとした幹だけが描かれている。水面に映る幹とつながって画面を区切り、一見幾何学的な構図だ。しかし、木と水の微妙な揺らぎが伝わってくる、モネらしい繊細さをたたえている。4本のポプラの最後の姿であり、遺影(いえい)ともいえるだろう。
台風18号の強風で、北海道大学のポプラ並木が半分近く倒れた。写真で見ると、たくさんの木が無残な姿で横たわっている。モネのように最期を見届ける人もなく、突然なぎ倒されたのだろう。多くの人に親しまれてきた並木であり、大学では「再生」を試みるそうだ。
ポプラの語源はラテン語のポプルス(人民、人々)だという。古代ローマの人々はその木陰でよく集会を開いた、と伝えられる。だからというわけではないだろうが、ポプラはしばしば人の姿に擬(ぎ)せられる。寿命も60~70年といわれ、人間に近い。〈夏ぞゆく、わが窓のべのポプラアのおとろうる枝姉のごとしも〉(岡井隆)。
非人間的な場所でポプラ並木にめぐりあったこともある。ポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡(あと)だ。青空に伸びるポプラが穏やかさを醸(かも)しだしているだけに、暗い室内に陳列された遺品(いひん)の数々が地獄絵として強く印象づけられた。収容された人たちが植えたともいわれる。
様々な思いが刻み込まれ、人々の記憶を揺さぶる樹木である。
注:
莫奈
(Claude Monet, 1840-1926)
法国画家。印象画派的创始人之一。印象派的名称,就是当时批评家对他的《日出印象》一画的嘲笑而来。初从布丹(Boudin)学习,并受容金(Jongkind, 1819-1891)和*柯罗的影响;后转向外光的描写,马奈和透纳的作品给了他很大的启发。曾长期探索光色与空气的表现效果;常常在不同的时间和不同的光线下,对同一对象边疆作多幅的描绘,从自然的光色变幻中抒发瞬间的感受。在运用色彩方面有所突破。代表作品有《睡莲》、《鲁昂大教堂》、《勒·阿费尔附近海滨的平台》、《帆船》、《伦敦风景》、《花园里的女人们》等。