7章 法律責任
第80条 使用者が制定した労働規則制度が法律、法規の規定に違反している場合には無効であり、労働行政部門により警告され是正を命じられる。労働者に対して損害を与えた場合には使用者は賠償責任を負わなければならない。
第81条 使用者が提供した労働契約書に本法で規定した労働契約の必須条項が記載されていない場合には、労働行政部門により是正を命じられる。労働者に対して損害を与えた場合には使用者は賠償責任を負わなければならない。
第82条 使用者が雇用の日から1ヶ月を超えても労働者と書面労働契約を締結しない場合には、労働者に対して報酬の2倍の賃金を支払わなければならない。
第83条 使用者が本法の規定に違反し労働者と約定した試用期間は無効であり、労働行政部門により是正を命じられ、違法に約定した試用期間がすでに履行された場合には、使用者は労働者の月給を基準として、違法に約定した試用期間の期限に基づき労働者に対して賠償金を支払わなければならない。
第84条 使用者が本法の規定に違反して労働者の身分証などの証書を差押えた場合には公安機関により労働者本人に期限内に返還するように命じられ、関連法律規定により罰せられる。
第85条 使用者が本法の規定に違反して労働者に対し担保の提供を要求し、労働者から財物を徴収した 場合には労働行政部門により期限内に労働者本人に対して返還することを命じられ、労働者1名につき500元以上2000元以下の基準で罰金に処せられる。労働者に対して損害を与えた場合には使用者は賠償責任を負わなければならない。
労働者が法により労働契約を解除、終了するに際して使用者が労働者の档案またはその他の物品を差押えた場合には前項の規定に照らして処罰される。
第86条 使用者が下記のいずれかの状況にある場合には、労働行政部門により期限を定めて労働報酬、残業代または解除、終了した労働契約の経済補償金を支払うよう命じられる。労働報酬が当該地の最低賃金標準より低い場合には、その差額部分を支払わなければならない。期限を過ぎても支払わない場合には使用者は労働者に対し50%以上100%以下の基準で賠償金を付加して支払うよう命じられる。
(1) 労働契約の約定に従わないか、または本法の規定に従わないで労働者に労働報酬を支払った場合
(2) 労働者に当該地の最低賃金標準より低い賃金を労働者に支払った場合
(3) 残業を手配しながら残業代を支払わなかった場合
(4) 労働契約を解除、終了しながら本法の規定に従った経済補償金を労働者に支払わなかった場合
第87条 締結した労働契約が、本法第26条により無効と確認された場合、労働行政部門は 500 元以上2万元以下の罰金に処することができる。相手方に損害を与えた場合は、過失がある一方は賠償責任を負わなければならない。
第88条 本法の規定に反して固定期限がない労働契約を締結しない場合には、労働契約を解除または終了する際に使用者は本法第47条に規定する経済補償金基準の2倍を労働者に賠償金として支払わなければならない。
[next]
第89条 使用者に下記のいずれかの行為があり犯罪を構成する場合には、法により刑事責任を追及する。 治安管理に違反する行為があった場合には法により行政処罰が与えられる。労働者に対して損害を与えた場合には使用者は賠償責任を負わなければならない。
(1) 暴力、威嚇または違法に人身の自由を制限する手段で労働を強制した場合
(2) 規則違反の指示によりまたは危険作業を命じて労働者の人身の安全をおびやかした場合
(3) 侮辱、体罰、殴打、違法な取調べまたは労働者の拘禁が行われた場合
(4) 労働条件が劣悪であり、環境汚染がひどく、労働者の心身に損害を与える場合
第90条 使用者が本法第50条第1項の規定に従わず、労働者に対して労働契約を解除または終了する証明書面を出さない場合、労働行政部門により是正を命じられる。労働者に対して損害を与えた場合には使用者は賠償責任を負わなければならない。
第91条 使用者は、他の使用者との労働契約を解除または終了していない労働者を雇用し、もとの使用者に損害を与えた場合には賠償責任を負わなければならない。
第92条 労働者が本法の規定に違反して労働契約を解除し、または労働契約中で約定した秘密保持事項 もしくは競業制限に違反し、使用者に対し経済損失を与えた場合には賠償責任を負う。
第93条 労務派遣機関が本法の規定に違反した場合には、労働行政部門により期限を定めて是正を命じられる。
情状が悪い場合には、1名の労働者につき1千元以上5千元以下の基準で罰金に処せられ、かつ工商行政管理 部門により営業許可を取り消される。派遣労働者の権益が損害を受けた場合には労務派遣機関と派遣先は連帯して賠償責任を負う。
第94条 営業許可なく経営した機関は法により処分され、当該機関の労働者がすでに労働を提供している場合には、処分を受けた機関または出資人が労働者に労働報酬を支払う。
第95条 労働行政部門とその他関連主管部門およびその職員が法定の職責を履行せず、もしくは違法に職権を行使し、使用者または労働者の合法権益に損害を与えた場合には賠償責任を負う。直接責任を負う主管人員およびその他の直接責任ある人員は法により行政処分が与えられる。犯罪を構成する場合には法による刑事責任を追及する。 第8章 附則
第96条 本法第2条第2項に規定した事業単位が任用制労働契約を採用し、法律、行政法規及び国務院が別途規定を定めた場合は、それらの規定に従う。
第97条 本法施行前にすでに法により締結し、かつ本法施行まで存続する労働契約は、引き続き履行する。 本法第14条第2項第3項が規定した固定契約付き労働契約を連続的に締結する回数は、本法施行後に固定期限付き労働契約を継続して締結するときから計算する。
本法施行前にすでに成立した労働関係で、書面契約をまだ締結してない労働契約は、本法施行後一ヶ月以内に締結しなければならない。
本法施行の日まで存続した労働契約で、本法施行後に解除または終止し、本法第46条により経済補償を払 べき場合には、経済補償の年限は本法施行日により、計算する。本法施行前、当時の規定により、使用者は労働者に経済補償金を支払う。
第98条 本法は2008年1月1日より施行する。