第四章 工会の基本組織
第三十五条
国有企業の労働者代表大会は,企業が民主的管理を実施するための基本形であり,労働者が民主的管理権を行使するための機構であって,法律の規定により職権を行使する。
国有企業の工会委員会は労働者代表大会の実務執行機構であり,労働者代表大会の日常業務、検査、労働者代表大会決議の執行督促の責任を負う。
第三十六条
集団企業の工会委員会は,労働者の民主的管理及び民主的監督への参加を指示 ・ 組織し,労働者による管理者の選挙 ・ 罷免及び経営管理上の重要問題を決定する権利を護持する。
第三十七条
本法第三十五条、第三十六条に規定する以外のその他企業、事業者の工会委員会は,法律の規定に則り労働者を組織し,企業、事業者に適する形で企業、事業者の民主的管理に参画させるようにする。
第三十八条
企業、事業者が経営の管理及び発展に関する重要な問題を検討するに際しては必ず工会の意見をヒアリングしなければならない;給与、福利、労働安全衛生、社会保険など労働者本人の利益に係る事柄を討議する会議には,必ず工会代表が参加しなければならない。
企業、事業者は工会が法に則り業務を遂行するのを支持しなければならず,工会は企業、事業者が法に則り経営管理権を行使するのを支持しなければならない。
第三十九条
会社の董事会、監事会に労働者代表が誕生する場合には,会社法関連規定に照らして執行するものとする。
第四十条
中核工会委員会が会議を招集または労働者の活動を組織する場合には,生産や勤務の時間外に行うものとし,生産や勤務の時間を使わざるを得ない場合には,必ず事前に企業、事業者の同意を得なくてはならない。
中核工会の非専従委員が生産や勤務の時間を割いて会議に参加したり工会の業務に従事したりする場合は,1月に3勤務日を超えない場合に限り,給与は保障され,その他の待遇も影響を受けないものとする。
第四十一条
企業、事業者、機関の工会委員会専従者の給与、賞与、手当は,所属勤務先から支給される。社会保険及びその他の福利待遇なども,同じ勤務先の労働者と同等の待遇を教授できるものとする。
第五章 工会の経費と財産
第四十二条
工会経費の出所:
(一)工会会員が納める会費;
(二)工会組織を設立した企業、事業者、機関が工会に対し毎月支給する全従業員の給与総額の2%分の経費;
(三)工会が属する企業、事業者が上納する所得;
(四)人民政府の補助;
(五)その他の収入。 上記第2項に定める企業、事業者、機関が支給する経費は税引前支出と認める。 工会経費は主として労働者に対するサービス及び工会の活動に充てられる。経費の具体的使用方法については,中華全国総工会が制定する。
第四十三条
企業、事業者は,正当な理由なく工会経費を延納または不払いしてはならず,中核工会または上級工会は現地の人民法院に支払命令を出すよう申請することができる;支払命令を拒否して履行しない場合,工会は法により人民法院に対し強制執行を申請することができる。
第四十四条
工会は独立採算の原則に基づき経費の予算、決算及び審査監督制度を作らなければならない。 各クラスの工会は経費審査委員会を設立する。 各クラスの工会の経費収支状況は,必ず同クラスの工会の経費審査委員会の審査を受け,かつ定期的に会員大会または会員代表大会で報告され、監督を受けなければならない。工会会員大会または会員代表大会は経費の使用状況について意見を提出する権利を有する。
工会の使用経費は,法に則り国家の監督を受けなければならない。
第四十五条
各クラスの人民政府及び企業、事業者、機関は,工会の業務遂行及び活動展開のために必要な施設と活動場所など物的条件を提供しなければならない。
第四十六条
工会の財産、経費及び国から工会に供用された不動産はいかなる組織や個人による侵入占有、移動や恣意的転用も許されない。
第四十七条
工会が属する勤務先である企業、事業者は,その隷属関係を濫りに変えることはできない。
第四十八条
縣クラス以上の各工会の離職休養、定年退職者の待遇は,国家機関勤務者と同等の待遇とする。
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第六章 法的責任
第四十九条
工会は本法の規定に違反しその合法的権益を侵犯した者に対し,人民政府または関連部門に処理を依頼したり,人民法院に提訴したりする事が出来る。
第五十条
本法第三条、第十一条の規定に違反し,労働者が法に基づき工会に参加、組織する事や,上級工会が労働者の工会設立を支援、指導する事を妨害した者は,労働行政部門が是正命令を下し;是正を拒否した場合は,労働行政部門から郡(縣)クラス以上の人民政府に対し処理を依頼することが出来る;暴力、威嚇等の手段による妨害の末重大な結果を招き,犯罪事実を構成するものは,法により刑事責任が追及される。
第五十一条
本法の規定に違反して,法により職責を履行した工会業務従事者に対し正当な理由なく異動や報復措置を行った者には,労働行政部門から是正命令が下され,職場復帰がなされる;損失を蒙った者に対しては賠償される。
法により職責を履行した工会業務従事者に対し侮辱、誹謗または身体への危害を加え,犯罪事実を構成するものは,法により刑事責任が追及される;犯罪にまで至らぬ場合は,公安機関が治安管理処罰条例の規定に基づき処罰する。
第五十二条
本法の規定に違反し,下記に当てはまる場合は,労働行政部門から是正命令が下されて職場復帰がなされ,労働契約解除期間中に得るべきであった報酬が補填されるか,本人の年収の倍額賠償の命令が下される: (一)労働者が工会の活動に参加し労働契約を解除された場合; (二)工会業務従事者が本法に定める職責を履行したため労働契約を解除された場合。
第五十三条
本法の規定に違反し,下記に当てはまる場合は,縣クラス以上の人民政府から是正命令が下され,法により処理される:
(一)工会が組織する、労働者代表大会及びその他形式による法に基づく民主的権利の行使を妨害した場合;
(二)工会組織に対し不法な取り潰しや合併を行った場合;
(三)工会が労働者の公的負傷 ・ 死亡事故やその他労働者の合法的権益を侵害する問題の調査 ・ 処理を行う事を妨害した場合;
(四)正当な理由なく対等な協議を行う事を拒否した場合。
第五十四条
本法第四十六条の規定に違反し,工会の経費や財産を侵害占有し返還を拒否した者に対し,工会は人民法院に提訴し,返還及び損害賠償を請求できる。
第五十五条
工会業務従事者が本法の規定に違反し,労働者や工会の権益に損害を与えた場合は,同クラスの工会または上級工会により是正命令または処分が下される;重大な違反者は,《中国工会章程》に照らし罷免される;損害を与えた場合は,賠償責任を負う;犯罪事実を構成するものは,法により刑事責任が追及される。
第七章 付 則
第五十六条
中華全国総工会は,関連国家機関と共に行政機関工会が本法を実施するための具体的方法を制定するものとする。 第五十七条本法は公布日より施行される。 1950 年 6 月 29 日中央人民政府発布の《中華人民共和国工会法》は ,( 本法施行と ) 同時に廃止とする。