100217冰上掠影
どこの湖の冬だろう、彫刻家で詩人の高村光太郎に「氷上戯技」という短い詩がある。〈さあ行こう、あの七里四方の氷の上へ/たたけばきいんと音のする/あのガラス張りの空気を破って/隼(はやぶさ)よりもほそく研いだこの身を投げて/飛ぼう/すべろう〉
雕刻家、诗人高村光太郎有一首题为《冰上戏技》的短诗,但是,说的是何处的湖上冬日风景就不得而知了。“走吧,到那七里见方的冰面上去吧/敲一下铿锵作响/突破那玻璃般笼罩着的空气/抛射出磨练得比游隼更犀利的身体/飞翔吧/滑行吧”。
昔の少年たちの歓声が聞こえるようだ。時代は違うが、この2人も冬には、氷雪と戯れる子ども時代を過ごしたのかと想像した。スピードスケート500メートルで銀メダルを手にした長島圭一郎選手と、銅の加藤条治選手である。
从中我们似乎能够听到往昔少年们的欢笑声。如今,尽管时代不同,但我仍觉得这两个人似乎也曾有过冬天里在冰雪上嬉戏的孩提时代。这就是获得速滑500米银牌的长岛圭一郎和获得铜牌的加藤条治。
長島選手は雑草タイプらしい。前回のトリノ五輪では惨敗して泣いた。「力もないのに出て、打ちのめされた。恥ずかしくて死にたくなった」と言う。タイムより勝ち負けにこだわる哲学は、野天の真剣勝負師を思わせるものがある。
长岛似乎是杂草型的选手。在上一届的都灵冬奥会上他曾因惨败而痛哭流涕。他说:“不自量力地下场比赛,结果败得落花流水,真是羞愧欲死啊”。他这种比起时机来更加计较胜负的理念,叫人联想到在野外玩真格的剑客。
加藤選手も前回、期待されたが6位に沈んだ。その後車を買い、ナンバーを「3399」にした。世界初の33秒台への決意というから、こちらは技を研ぎ澄ます求道の人か。どちらも恥辱と屈辱をばねに、日本勢初のメダルをもぎとった。
加藤在上届冬运会上也曾备受期待,结果却落到了第六名。赛后,他买了辆车,将车牌选为“3399”。据说是通过这个数字表达了他冲击世界首个33秒大关的决心。由此看来,或可将他列为精研技艺的求道者吧。而相同的是,这两位选手均以羞愧和屈辱为动力,为日本队夺得了最初的两枚奖牌。
残念ながらフィギュアでは、ロシアに国籍を変えた川口悠子選手のペアが4位に終わった。移り住んで8年、「ペアはロシア人の誇りなんです。それが分かってきた」と言っていた。だがスロージャンプで転んだ。
令人遗憾的是在花样滑冰比赛中,已加入俄罗斯国籍的川口悠子在双人滑中只得了个第4名。移居他乡8年,她说:“我终于明白了。双人滑是俄罗斯人的骄傲”。但在做抛跳动作时她却不慎摔倒了。
〈獲物追ふ豹(ひょう)にも似たり女子フィギュア氷上リンクの轍(わだち)すさまじ〉。朝日歌壇に載った渕上範子さんの作だ。ペアとて同じ、そして銀盤の傷痕は栄光と悔恨の証人でもある。3位と4位の間の非情な距離をあらためて思う。
“捷若豹子追逐猎物,女子花样滑,冰面刀印见精神”。这是刊登在《朝日歌坛》上的一首短歌,渊上范子作。双人花样也一样,留在银白色冰面上的条条印迹不仅见精神,还是荣耀和悔恨的见证。让人再次体会到第3和第4之间无情的距离。