100302智利海啸
たび重なるつらい経験から、三陸地方には「地震=津波」の教えが染みついているという。だが、50年前のチリ津波は勝手が違った。前触れとなる揺れがなかったこと、むくむくと高潮のように寄せてきたことだ。
据说出于反复多次的惨痛经历,“地震=海啸”的教训在三陆地区(译注:日本的东北地区的太平洋一侧,从青森县东南端开始,经岩手县沿岸直到宮城县的牡鹿半岛的海岸总称。总长六百多公里。)早已深入人心了。然而,50年前的智利海啸却完全出乎意料。没出现前兆性的摇晃,海水就像涨潮一般地滚滚而来了。
未明に津波を目撃した漁師は「海が膨れ上がって、のっこ、のっことやって来た」と語っている(吉村昭著『海の壁』)。近海で発生した過去の津波が一気に突進してきたのと違い、引いては寄せる周期が長かった。干上がった海底で魚を取る子など、間一髪の話が残っている。「のっこ、のっこ」の怖さだろう。
曾经在天亮前亲眼目睹了这场海啸的渔民说:“大海一下子膨胀起来,慢吞吞地步步紧逼过来”(《海之壁》吉村昭著)。过去发生在近海的海啸都是一下子直扑过来的,可那次却有所不同,从退潮到卷土重来的周期很长。传说有些下到枯水的海底去捉鱼孩子差一点就回不来了。这就是“慢吞吞”的可怕之处吧。
再びチリで起きた大地震で、三陸海岸などに大津波警報が出た。その名も恐ろしげな警報は17年ぶりだという。太平洋に沿った鉄道は止まり、全国で150万人が避難を促された。
由于智利再次发生了大地震,三陆海岸等地发出了大型海啸警报。据说这种名称就很恐怖的警报已经17年没听到过了。于是,太平洋沿线的铁路停运了,全国范围内有150万人被疏散避难。
NHKは当然としても、東京マラソンの中継、アニメ、CMまでが、警報を伝える列島の地図入りで放送された。防災大国の入念な態勢は、幾多の犠牲と引き換えに築き上げたものだ。気象庁は「過大な予測」をわびたが、逆に間違えるより余程いい。
NHK理所当然地发布信息,甚至在东京马拉松的实况转播、动画片以及电视广告中都插入了带有列岛地图的海啸警报。防灾大国的这种谨小慎微的态势,可是在无数条人命上建立起来的。因此,尽管气象厅为其“夸大的预测”而作出了道歉,但总比相反的预测错误要好得多。
津波は飛行機の速さで太平洋を渡ってきた。海を介して、どの国もつながっていると実感する。天災に国境はない。人間社会のはるか前からグローバルなのだ。だからこそ、「対岸の遠き隣国」に急いで救援の手を差し伸べたい。
海啸以飞机的速度横渡太平洋扑面而来。使人切实地感受到,在海洋的媒介之下各个国家都是连在一起的。天灾无国界。远在人类社会之前,它早已全球化了。正因为此,我们才要尽快地向“对岸遥远的邻国”伸出救援之手。
防災とは、まだ見ぬ破局に備えることをいう。地球はいま、天変地異ばかりでなく、ともに挑むべき緩慢な危機に満ちている。温暖化、海洋の汚染、資源の枯渇。厄介な「のっこ、のっこ」である。
所谓防灾,就是指应对尚未出现的悲惨结局。如今的地球,不仅仅是地动山摇,还充满着各种应该同时应对的慢性危机。温室效应、海洋污染、资源枯竭。这些棘手的“慢吞吞”也正在步步逼来。