名画的正面和背面
2011年2月18日(金)付
一枚の紙を二枚にせよと言われたら、大抵の人は縦に裂くだろう。むろん、横でも斜めでも構わない。そんな二次元の発想を脱し、紙にも「薄い厚み」があると気づけば、はがすという手が浮かぶ。
如果有人让你把一张纸分成两张,一般人是会把纸竖方向撕开的。当然,往横撕往斜撕也没关系。不过,如果你能跳出这种平面的思维,注意到纸其实也有“薄薄的厚度”的话,那你还可以把纸从中间剥开。
通貨変造の手口に、1万円札を表と裏にはがす技があった。裏打ちをしたうえ、人目をはばかり、もっぱらパチンコ屋の両替機などで悪さをする。「2万円」にするつもりが、失敗すれば表裏が共倒れという、思えばマニアックな犯罪だった。
制造假币的方法之一,就是把1万日元的纸币剥开分成正面和背面两张。重新裱糊后,趁人不备,专门在弹珠房的兑零机上作案。成功的话就成了两万日元,不过失败的话就一分钱也没有了。算是一种比较不可理喻的犯罪。
はがしの技は悪巧みに限らない。国宝の「鳥獣人物戯画」にも使われていたことが、修復を手がける京都国立博物館の調査で分かった。全4巻のうちの丙巻は、紙の表裏に描かれた人物画と動物画をはがし、ひと続きの巻物に仕立て直していた。
这种剥离的技法是不仅限于做坏事的。最近,着手修复国宝《鸟兽人物戏画》的京都国立博物馆经过调查发现,这幅画的制作过程中也运用了剥离技术。全4卷中的丙卷是把正面和背面的人物画和动物画剥离,然后重新装裱成一幅连续的画卷的。
和紙は植物繊維を漉(す)いて作るので、断面は層をなす。紙が貴重な時代から、べろんとはがせることは知られていた。ウサギやカエルが戯れる甲巻も、丁巻の裏からはがした紙で補修されていたという。
和纸是用植物纤维碾制而成的,所以其断面是分层的。纸张在其为贵重品的时代开始人们都知道它是可以简单地剥开的。据说,画有兔子和青蛙在游戏的甲卷也曾经用丁卷背面剥下的纸进行修补。
京の高山寺(こうざんじ)に伝わる鳥獣戯画は、平安末から鎌倉時代の作。両面に描いた部分は鑑賞用ではなく、習作か下絵だったようだ。数百年後の江戸前期、「日本最古の漫画」に打たれた粋人が、楽しみを倍にすべく鑑賞しやすい形に加工したらしい。
原藏于京都高山寺的鸟兽戏画,创作于平安时代末期到镰仓时代初期。正反两面都画了东西的部分应该不是用于观赏的,而是练习作品或草稿。到了几百年后的江户时代前期,应该是那些将这幅画誉为“日本最古老的漫画”的文人雅士,将它加工成现在这种易于观赏、情趣倍增的样子的。
洒脱(しゃだつ)な素描と寓意(ぐうい)は軽々と時を超え、私たちを魅する。守り継ぐだけでは飽きたらず、この傑作に「何かしたい」誘惑に駆られる人が出るわけだ。描き足し、継ぎはぎで戯画の人間味が増したように、後代の「変造」を含めての文化財である。裏も表もない。
洒脱的笔法和寓意,轻轻地跨越时代,征服了我们。肯定会有人不甘守成,跃跃欲试想在这幅杰作上“做点什么”。画蛇添足、七拼八凑已经让这幅画增加了不少市井之气,成了包含后代“改造”的文化遗产了。真可谓不伦不类啊。