浮石沉木
2011年2月20日(日)付
人の世で往々に「石が流れて木の葉が沈む」ことがある。中国の「浮石沈木」に由来する諺(ことわざ)で、物事が当たり前の道理に合わないたとえだ。ただでさえ晴れやらぬ時代、これに類するニュースを聞くと、どうにもやりきれない。
人世间往往有“石流叶沉”这种事。这个谚语出自中国的成语“浮石沉木”,比喻一些完全不合常理的事物。这个本来就很让人郁闷的年代,听到一些与此类似的新闻,更让人觉得难以忍受。
消費者金融・武富士創業家の贈与課税をめぐる「2千億円還付」の司法判断もその一つだろう。もっともこれは「道理の殿堂」とも言うべき最高裁の判決だから、諺そのままではない。きのうの小紙社説も「釈然としない結論だが、筋は通っている」と書いていた。
这其中一条就是围绕消费者借贷机构武富士创业人股票赠送征税的“退还两千亿日元”的司法判决。本来这是由可称为“道理的殿堂”的最高法院所作出的裁决,不应该是上面的谚语描述的事物。而昨天本报的社论也写道“结论使人无法释然,但道理上是通的”。
ここは語順を変えて「筋は通っているが、釈然としない」としたい。還付金のうち利子が400億円というから、低金利のご時世に焼け太りである。経営破綻(はたん)した武富士は更生手続き中で、違法な高金利で借り手から巨額の「過払い利息」を取った問題を抱えてもいる。
在这里,我想把语序颠倒一下,写成:“道理是通的,但让人无法释然”。据说退还金额中有400亿日元是利息,这在如今这个低息时代可谓因祸得福了。另外,已破产的武富士在办理重新经营的手续时,也存在以违法的高利息从借款人手中获取巨额的“过缴利息”的问题。
ざっくり言えば「税逃れの成功」だろう。裁判官は「著しい不公平感を免れないが、租税法律主義からはやむを得ない」と補足意見を述べたそうだ。悪法もまた法なり、の古言に思いが至る。
简单说来,这就是一个“成功逃税”的案例。据说审判官在阐述补充意见时说道:“本案难免给人有强烈的不公平感觉,但从租税法律主义出发,只能做出这样的判决”。这让人想到一句古语:恶法也是法。
もう一つ、諺を地でいくのが調査捕鯨の中断だろう。ご承知の通り反捕鯨団体の悪質な妨害ゆえだ。日本人は鯨肉を食べなくなった。冷静に見る対応は必要だが、伝統の食文化である。険しい感情が腹に残る向きもおられよう。
还有一件上演上述谚语现实版的事情是调查捕鲸的中断事件。众所周知这是因为反捕鲸团体的恶意阻挠。日本人不吃鲸鱼肉了。这个问题需要冷静看待,毕竟这是个传统的饮食文化。肚子里还残留着一些危险情感的人还是存在的。
中国の古典によれば「浮石沈木」は大衆の無責任な言論で起きると言う。今や軽い言葉の乱発で「石が流れて木の葉が沈む」ごとき政界である。あれやこれや。わだかまる毒を消す良薬が、どこかにないか。
中国的典籍中,“浮石沉木”是由于大众不负责任的言论而引起的。如今的政界也是不负责任的言论满天飞,也可谓“石流叶沉”了。到处都是一片乱糟糟。要解开这已经累积多时的毒,良方到哪里去找好呢?