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『野村美月』文学少女 txt日文版 连载1
时间:2009-07-16 13:06:27  来源:  作者:

 流人くんの女の子に対する顔の広さと、行動力には、以前にも驚かされた。知り合いがいなければ、速攻で口説いて友達になる。そういうことをあっけらかんとやってしまえる人間なのだ。本当にぼくより年下なのか?

「ありがとう。やっぱり流人くんは頼りになるね」

 ぼくのリップサービスを、流人くんはさらりと受け流した。

「ただし、ひとつ条件があるんすけど」

 まるで、麻貴先輩みたいなことを言い出す。

「なに? 宿題くらいなら手伝えるけど」

「いや、それはやってくれる女の子が一杯いますから。そういうんじゃなくて、心葉さん、イブの予定あります?」

 思いがけない問いに、ぼくは面食らった。

「クリスマスイブ? ないけど」

「やった! じゃ、それ、キープさせてください」

「イブに男の子とディ×ニーランドへ行って、手をつないで電飾パレードを見るのは勘弁してほしい」

「はは、いっすね、それ。まぁ、とにかくイブは空けといてください。遠子姉より胸の立派な女の子に誘われても、きっちり断ってくださいよ」

「それって、十歳以上の全ての女の子ってこと?」

「おっと、キツイな心葉さん。てゆーか遠子姉すっげー気にしてて、毎朝〝胸がふくらむ体操 ? とかしてるんで、いじめないでやってください」

「胸がふくらむ体操って……どんな体操?」

「こう、両手を胸の前であわせて、右に左に、ゆら~ゆら~と。部屋をのぞくと、真剣な顔してやってますよ」

 想像して、軽く目眩がした。ヨガだろうか?

「ま、白藤の件は、向こうと連絡とれしだいメール入れます。なんで、遠子姉のおやつも覚えててやってくださいね。マジ楽しみにしてますから。弟からのお願いです」

 冗談ぽい口調で言い、携帯を切った流人くんから着信が入ったのは、五十分後――ちょうど遠子先輩のおやつの三題噺を書き終えた時だった。

『明日四時、白藤付属の正門のトコで、待っててください。とびきりの美人が迎えに行きますんで』

 そんなわけで、翌日の放課後。ぼくと琴吹さんは、石造りの立派な門の前で、流人くんの知り合いが現れるのを、緊張気味に待っていた。

十二月に入ってから日が落ちるのがますます早くなり、校舎は赤黒い夕日に染まっている。鋭い北風が吹きつけ、琴吹さんが肩を震わせる。

「寒い?」

「へ、平気……だよっ」

 昨日、ぼくの前でぼろぼろ泣いてしまったのが恥ずかしいのか、視線をあちこち移動させ、ぎこちなく答える。水戸さんからのメールは今日もなく、三日も途絶えたままだという。それも心配でたまらないのだろう。

 すでに十分ほど、待ち合わせの時間を過ぎていた。お嬢様ぽいワンピースの制服の上にコートを羽織った女の子たちが、何人も目の前を通り過ぎてゆくけれど、それらしい人は現れない。流人くんのメールには、〝とびきりの美人 ? と書いてあったけど、名前くらい聞いておけばよかったと後悔したとき――。

「あなたが、井上くん?」

 いきなり、背筋をくすぐるような色っぽい声でささやかれ、慌てて振り返る。

「正解みたいね。遅れてごめんなさい。流くんのトモダチの鏡粧子よ」

 真っ赤な唇を吊り上げて微笑んだのは、細身のブラウスにパンツ、ロングコートという出で立ちの、大人の美女だった。

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