その上壮太郎氏の秘書が三人おります。おまわりさんと、秘書と、猛犬と、この厳重な防備の中へ、いくら「二十面相」の怪賊にもせよ、忍び込むなんて、思いもよらぬことでしょう。
それにしても、待たれるのは、長男壮一君の帰宅でした。徒手空拳、南洋の島へ押し渡って、今日の成功を収めたほどの快男児ですから、この人さえ帰ってくれたら、家内のものは、どんなに心丈夫だかも知れません。
さて、その壮一君が、羽田空港へつくという日の早朝のことです。
赤々と秋の朝日がさしている、羽柴家の土蔵の中から、一人の少年が、姿を現しました。小学生の壮二君です。
まだ朝食の用意もできない早朝ですから、邸内はひっそりと静まり返っていました。早起きのすずめだけが、いせいよく、庭木の枝や、土蔵の屋根でさえずっています。
その早朝、壮二君がタオルの寝巻き姿で、しかも両手には、何か恐ろしげな、鉄製の器械のようなものを抱いて、土蔵の石段を庭へ降りてきたのです。いったい、どうしたというのでしょう。驚いたのはすずめばかりではありません。
壮二君は夕べ、恐ろしい夢を見ました。「二十面相」の賊が、どこから洋館の二階の書斎へ忍び入り、宝物を奪い去った夢です。
賊は、お父様の今にかけてあるお能の面のように、不気味に青ざめた、無表情な顔をしていました。そいつが、宝物を盗むと、いきなり二階の窓を開いて、真っ暗な庭へ飛び降りたのです。「ワっ」といって目が覚めると、それは幸いにも夢でした。しかし、何だか夢と同じ事が起こりそうな気がして仕方がありません。
「二十面相のやつは、きっと、あの窓から、飛び降りるに違いない。そして、庭を横切って逃げるに違いない。」
壮二君は、そんなふうに信じ込んでしまいました。
「あの窓の下には花壇がある。花壇が踏み荒らされるだろうなあ。」
そこまで空想した時、壮二君の頭に、ヒョイと奇妙な考えが浮かびました。
「うん、そうだ。こいつは名案だ。あの花壇の中へわなを仕掛けておいてやろう。もし、僕の思っているとおりの事が起こるとしたら、賊は、あの花壇を横切るに違いない。そこに、わなを仕掛けておけば、賊のやつ、うまくかかるかもしれないぞ。」
而且壮太郎先生还有3个秘书.警察和秘书和凶猛的狗.就算是[二十面相]这样的怪贼,想要潜入如此戒备森严的防备,恐怕是难以想象的.
话虽如此,但还是要等待长子壮一回家.壮一赤手空拳的横渡到了南洋的岛屿上,并取得了今日的成就,他是一痛快男儿.只要这个人能回到家里,全家人的心理是多么地踏实啊.
于是,事情就发生在壮一到达羽田机场当天的早晨.
秋天早晨的阳光明晃晃地照射着,一个少年的身影出现在了羽柴家的仓库中,他就是小学生壮二.
因为还没有可以做早饭的时候,所以府里显得有些万籁俱寂.只有早起的麻雀,有朝气地站在院子的树枝上,仓库的屋顶上唧唧喳喳的叫个不停.
那个早晨,壮二穿着毛巾睡衣,而且双手还捧着一个令人害怕的铁制器械,由仓库的石阶走向院子.他究竟是怎么了,不光是麻雀吃了一惊.
壮二昨晚做了一个恶梦.梦见[二十面相]盗贼,从哪个地方潜入到西式洋房二楼的书房里,偷走了宝物.
盗贼长着一副可怕的,苍白的,面无表情的面孔,犹如挂在父亲起居室里的能的面具.那家伙偷了宝物后,突然打开二楼的窗户,跳到漆黑的院子里.
[哇]的一声就醒了,辛亏那只是个梦.但是壮二总觉得有可能会发生与梦境相同的事情.
[二十面相这家伙,肯定会从那个窗户跳下逃跑,然后肯定会横穿院子逃走.]
壮二坚信会那样发生.
[那窗户下面是个花坛,花坛肯定会被踩坏的吧.]
幻想到这时,壮二的脑子里突然闪现出了一个奇怪的想法.
[对,就这样.这是好主意.就在那个花坛里设个圈套.如果我想象的事情发生的话,盗贼肯定会穿过那个花坛的.只要在那里设下圈套的话,说不定还能抓到他.]